光の三原色・色の三原色
加法混色・光の三原色・RGB
加法混色ってどんな色の混ざり方なの?
色の混ざり方には大きく分けて2つの種類があります。
ひとつはLEDやテレビやスマートフォンのような、自ら光っている色を混ぜる方法です。
自ら光っている色は混ぜれば混ぜるほど白色に近づき、このような色の混ぜ方を加法混色といいます。
ただし、光の色を適当に混ぜれば必ず白色になるかというとそうはなりません。
白色を作り出すためには、赤色(Red)・緑色(Green)・青色(Blue)の光が必要になります。
そのため、白色を作るために必要なこの三色を特別に「光の三原色」と言います。
ちなみに、この三色を英語で表現すると「Red」「Green」「Blue」となることから、それぞれの頭文字を取って、RGBといった表現をすることもあります。
話しは変わりますが、光の三原色を「赤色・黄色・青色」と信号機を思い浮かべてしまう人は、このRGBで覚えるとよいでしょう。
さて、スマホの画面でもテレビの画面でも、今では何の不思議もなく白色に発光している画面を見かけます。
このきれいな画面を映し出すためには当然ですが赤色・緑色・青色LEDが必要となります。
昔から様々な色のLEDの開発が進んでいましたが、赤色や緑色のLEDは1960年代と比較的早くから開発が進んでいました。
しかし、青色LEDについては開発が難航して、20世紀中の実現は難しいのではないかと言われてきました。
そんな中、赤﨑勇教授、天野浩教授、中村修二教授の3名によって青色LEDは開発され、このことにより、私たちは様々なきれいな画面を見ることが出来ているのです。
自ら光っている色を混ぜると白色に近づく。
この色の混ぜ方は加法混色と言うよ!
特に赤色(Red)・緑色(Green)・青色(Blue)の3色を光の三原色と言うんだ!
減法混色・色の三原色・CMYK
減法混色ってどんな色の混ざり方なの?
色の混ぜ方のもうひとつは、絵具のような色をまぜる方法です。
光っている色の混ぜ方のときとは違い、こちらは混ぜれば混ぜるほど黒色に近づきます。
このような色の混ざり方を減法混色といいます。
ただし色を適当に混ぜれば必ず黒色になるかというとそうはなりません。
黒色を作り出すためには、水色(Cyan)・紫色(Magenta)・黄色(Yellow)の絵具の色が必要になります。そのため、黒色を作るために必要なこの三色を特別に「色の三原色」と言います。
ちなみに、この三色を英語で表現すると「Cyan」「Magenta」「Yellow」となることから、それぞれの頭文字を取って、CMYKといった表現をすることもあります。
色の三原色のよくわかる実験として、ペーパークロマトグラフィーで水性ペンの色を分解する実験があります。
例えば、赤色と青色を混ぜた色が紫色になることは多くの人が知っているかと思います。
そんな紫色を赤色と青色に分解することができるのか。
つまり混ぜた色をもう一度分解することができるのか、を調べるのがペーパークロマトグラフィーです。
ペーパークロマトグラフィーで水性ペンの色の分解実験
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自由研究としてよく扱われているテーマでもありますので、光の三原色や色の三原色に興味のある方はぜひペーパークロマトグラフィーの実験にチャレンジをしてみてください!
光っていない色を混ぜると黒色に近づく。
この色の混ぜ方は減法混色と言うよ!
特に水色(Cyan)・紫色(Magenta)・黄色(Yellow)の3色を色の三原色と言うんだ!
色の見え方
光の三原色と目の仕組み
どうして赤色(Red)・緑色(Green)・青色(Blue)の3色を光の三原色と言うの?
ここまでに、光の色で白色を作るための光の三原色が、赤色(Red)・緑色(Green)・青色(Blue)であることを説明しました。
では、なぜ私たちが白色を認識するためには、赤色・緑色・青色が必要であり、この3色が光の三原色と言われているのでしょうか。
その疑問を解決するためには、私たちの目の仕組みについて理解する必要があります。
私たちの目の中には、桿状細胞という細胞があります。
これは光の明暗を判断するための細胞です。
それとは別に、
色を認識する3種類の錐状細胞という色のセンサーみたいな細胞が目の中にあります。
この錐状細胞が認識できる色は赤色・緑色・青色の3色であると言われています。
そのため白色を作るためには、赤色・緑色・青色が必要となり、この三色が光の三原色と言われる理由です。
さて、センサーは3種類だけですが、この3種類の見え方のバランスによって、数百万種類ともいわれている色を認識することができています。
最近では白色だけでも100種類・200種類も存在するといわれるようになりました。
ちなみに生物によってはこの錐状細胞が2種類であったり4種類であったりするそうです。
また人間と同じ3種類であっても、それぞれの色の感度がことなることから、違った見え方をするそうですよ。
人間の目の中に赤用・緑用・青用の色センサーがあるから、この3色が光の三原色なんだね!
色の三原色と色の反射とその吸収
葉っぱが緑色に見えるのは
ここまで人間の目の仕組みについて説明をしてきました。
ここからは、私たちの目に光が入ってくるまでに経路について考えてみましょう。
そもそも私たちの目に光が届くということは、物質が鏡のように光を反射しているからだとも言えます。
分かりやすいように、夏場の葉っぱ例に考えてみます。
夏場の葉っぱを思い浮かべていただくと、多くの人が緑色をした葉っぱをイメージされるかと思います。
これは、葉っぱが緑色をしているから緑色に見えるかというと、少し違います。
正確には下のイラストのように緑色の光を反射していて、反射した緑色の光が私たちの目に届きます。
その結果として私たちは葉っぱを緑色だと認識しているのです。
さて、反射された光があるならば、吸収されている色も存在するはずです。
ここで光の三原色を思い出してください。
光の三原色は、赤・緑・青の三色でしたね。
葉っぱは緑色を反射しているので、残りの赤色の光と青色の光は葉っぱに吸収されたと言えます。
白衣が白色に見えるのは
実験で使うような白衣についても考えてみましょう。
私たちは白衣を白色と認識していますが、これは白衣がすべての色を反射しており、その反射された光が私たちの目の中に入り、結果として白色と認識しているのです。
色の吸収という視点から見ると、ほとんどの色が白衣には吸収されないということになります。
炭が黒色に見えるのは
ここまでの内容確認の題材として炭についても考えてみましょう。
私たちは炭を黒色と認識しています。
これは炭がすべての色を吸収してしまい、そのため炭から反射される光がほとんどなく、結果として黒色と認識しているのです。
このように光の色の反射と吸収は表裏一体であり、このことをわかりやすく表現しているのが色相環というものです。
色相環
色相環の見方と考え方
色相環の見方ですが、まず葉っぱの緑色のように、私たちが認識している色に注目します。
今回の場合は緑色になります。
次に、中心をはさんで反対側の色に注目します。
今回は、緑色の反対になりますので赤紫色となります。
この赤紫色が葉っぱに吸収されている色となるわけです。
光合成と色相環
さて、今回紹介している「色の見え方」とは少し趣旨が異なりますが、色相環の考え方は応用が利きます。
例として葉っぱの光合成を考えてみましょう。
光合成とは、太陽の光を利用して、二酸化炭素と水から酸素と栄養を作り出す、植物の働きのことです。
葉っぱは緑色を反射してしまうので、光合成にとって必ずしも必要な色ではありません。
反対に葉っぱが吸収してくれる赤色の光や青色の光は、効率的な光合成を行う上では欠かせない色となります。
話しは変わりますが、最近は屋内で野菜を育てる企業が増えてきました。
建物内で育てることは屋外で育てることに比べて、天候に左右されないというメリットがあります。
しかし植物を育てる以上、光合成を行うための光が必須です。
だからと言って、すべての太陽光のような光を用意するのは、設置費用や電気代が掛かり現実的ではありません。
ではどうすればよいのでしょうか。
そこで、光合成を行う上で効率のよい赤色と青色のLEDだけを利用して、野菜を育てればよいのです。
これは光の特徴と色相環の考え方を応用した技術と言えます。
今回のまとめ
- 光の色は混ぜるほどに白色に近づく。このような色の混ざり方を加法混色と言い、様々な色の中でも「赤色」「緑色」「青色」を特別に光の三原色と表現する。
- 絵の具の色は混ぜるほどに黒色に近づく。このような色の混ざり方を減法混色と言う。
- 人間の目の中には赤色と緑色と青色のセンサーがある。
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