重曹って何?実は“炭酸水素ナトリウム”なんです!
キッチンの掃除やお菓子作りなど、私たちの生活に欠かせない白い粉「重曹」。
実はこれ、化学の世界ではちょっと難しい名前で呼ばれているんです。それが――炭酸水素ナトリウム(NaHCO₃)!
化学式を見ると、炭素(C)、水素(H)、酸素(O)、ナトリウム(Na)という4つの元素からできています。
少し難しそうに感じるかもしれませんが、この記事ではこの“重曹”の正体や性質を、実験と一緒にわかりやすく紹介していきます!
重曹を加熱するとどうなる?熱分解の不思議
炭酸水素ナトリウムを試験管に入れて加熱すると、白い粉から泡が出て、試験管の内側には水滴がつきます。
これは化学変化(物質が別の性質をもつ物質に変わること)が起きているサインです。
🔥 化学式で表すと…
- NaHCO₃:炭酸水素ナトリウム(元の物質)
- Na₂CO₃:炭酸ナトリウム(新しくできる白い粉)
- H₂O:水(試験管の口に現れる水滴)
- CO₂:二酸化炭素(泡の正体)
💡 なぜ泡が出るの?
加熱によって、炭酸水素ナトリウムの分子が分解され、より安定した形に変化します。
そのときに発生する二酸化炭素が、泡となって目に見えるのです。
レモン果汁でシュワシュワ?酸と塩基の反応!
重曹にレモン果汁をかけると、しゅわしゅわと泡が出てきます。
これは「酸と塩基の中和反応」が起こっているからです。
レモンには「クエン酸」という酸が含まれており、水に溶けると水素イオン(H⁺)を出します。
一方、重曹は弱いアルカリ性(塩基)。
この2つが反応すると、水(H₂O)と二酸化炭素(CO₂)が発生します。
🔬 化学式で見ると…
この反応は、お風呂の炭酸入浴剤や、お酢と重曹を使ったナチュラルクリーニングにも応用されています。
身近な泡の正体が、実は化学反応だったなんて、面白いですよね!
発生した気体と液体を調べてみよう!
🌫️ 気体の正体は…二酸化炭素!
加熱や酸との反応で発生する泡の正体は二酸化炭素(CO₂)です。
目に見えない気体ですが、次のように調べることができます。
✅ 石灰水テスト
石灰水(水酸化カルシウム水溶液)にCO₂を通すと、以下の反応が起こり白く濁ります。
※「↓」は沈殿ができることを表します。
💧 液体の正体は…水!
加熱によって出てくる水は、次のように確認できます:
✅ 塩化コバルト紙テスト
青色の塩化コバルト紙が水分に触れると、ピンク色に変化します。これは、塩化コバルトが水と結びついて「水和物」になるためです。
※塩化コバルト紙は実験器具の一種なので、使用時は大人や先生の指導を受けて行いましょう。
H2: 炭酸水素ナトリウムの性質とは?
🧪 弱アルカリ性の水溶液
炭酸水素ナトリウムは、水に溶けると弱アルカリ性を示します。
これは、NaHCO₃の一部が水と反応し、水酸化物イオン(OH⁻)を生じるためです。
反応式はこちら:
pH(ペーハー)で見ると…
pH7未満 | pH7 | pH7超 |
酸性 (レモン、酢など) | 中性 (純水) | アルカリ性 (石けん水など) |
重曹水のpHはおよそ8〜8.5。この性質を活かして、台所の油汚れ(酸性)を中和して落とすことができます。
💥 酸と反応して“弱酸の遊離”
強い酸(例:塩酸)を加えると、重曹は以下のような反応をします👇
このように、一度「炭酸(H₂CO₃)」という弱い酸が生じ、それがすぐに水と二酸化炭素に分解されます。
これを弱酸の遊離といいます。この性質を活用して、ベーキングパウダーにも応用されているんですよ。
【まとめ】重曹は身近でおもしろい万能化学物質!
- 重曹の正体は炭酸水素ナトリウム(NaHCO₃)
- 加熱すると二酸化炭素と水が発生(熱分解)
- 酸性の液体と反応すると泡が出る(中和反応)
- 弱アルカリ性で、掃除や料理に便利!
- 入浴剤やベーキングパウダーにも活用される万能素材!
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