調味料の中でもよく使われている醤油ですが、その中に塩が溶けていることをご存じでしょうか。今回の実験では、そんな醤油から塩を取り出すためにはどうすればよいのか学習をしていきます。
醤油から塩を取り出すために知っておきたいこと
1.有機物と無機物
醤油から塩を取り出すために必要な知識として、有機物と無機物の違いについて知っておくとよいでしょう。
有機物とは、果物や野菜や木材など、炭素を含む物質のことです。主に植物や動物由来のものです。燃焼すると煙が出て、最終的には灰となる特徴があります。
無機物は、石や金属など、炭素を含まない物質のことです。生物由来ではなく、主に小さな分子やイオン結合を持ちます。有機物と異なり、燃焼しにくい特徴があります。
醤油にはさまざまな成分が含まれていますが、取り出したい塩は無機物であり、その他の成分は有機物で構成されています。
したがって、醤油から塩を取り出すための実験方法として、まず醤油を加熱して水分を蒸発させ、さらに焦げやすい有機物を焦がして灰にすることで、塩を取り出す方法が有効です!
2.塩であることの確認
取り出したものが塩であることを証明するためにはどうすればよいでしょうか
1.舐めてみる…白い結晶をなめてみて塩の特徴的な味であること確認する
2.炎色反応…塩は燃やすと黄色になります。
これらのことを利用して取り出したものが塩であることを確かめてみましょう。
実験方法
1.安全に実験を行うための注意事項
- この実験では火器類を扱います。 火を使用する際には十分な注意が必要です。火器類(ガスコンロやバーナーやIHヒーターなど)を使用する前に、必ず取扱い方法や安全対策について確認しましょう。
- 実験を行う周囲では燃えやすい物や可燃物を可能な限り遠ざけましょう。火の回りには余裕のあるスペースを確保して、万が一の火災を防ぐために消火器や水を準備しておきましょう。
- この実験では大量の煙が発生します。その煙を吸い込んでしまうことで場合によっては、体調が悪くなることもあります。実験を行う場所では窓を開けて新鮮な空気を確保して、煙が十分に排出されるようにしましょう。
- 安全を最優先に実験を行い、必ず大人の監督のもと安全に実験を実施しましょう。
2.実験に必要な材料と道具
- 醤油
- ステンレス皿(鍋でも代用可)
- 加熱器具
- 大さじ
- かくはん棒(割りばしでも代用可)
- 200mLビーカー(コップでも代用可)
- コーヒーフィルター(ろ紙の場合は、ロートとロート台を用意)
3.実験の手順
1.ステンレス皿に大さじ1杯分の醤油を入れます。
2.醤油を弱火で加熱します。(1回目の加熱
3.加熱を続けると、醤油から煙が出てきます。これは醤油の中に含まれている有機物が焦げているためです。
4.すべての水分が蒸発させて、醤油が真っ黒な灰になるまで加熱を続けます。このときすでに、灰の中から塩らしきものが確認できます。
5.加熱を止めて、ステンレス皿が冷えるのを待ちます。
6.ステンレス皿に大さじ1杯分の水を入れます。
7.水と灰を約3分間かき混ぜます。これは、灰の中に含まれている塩を水に溶かすことが目的です。
8.コーヒーフィルターを利用してろ過をします。
9.ろ過が完了するまでに、使用したステンレス皿を洗います。
10.ろ液をステンレス皿に移して、加熱をして水分を蒸発させます。(2回目の加熱
11.水分を蒸発させると、塩の存在を確認できます。
4.結果と考察
実験の結果、醤油の中に塩が溶け込んでいることが確認されました。
さて、2回の加熱が行われましたが、それぞれの加熱には理由があります。
1回目の加熱では、醤油中に含まれる有機物を焦がすことが目的でした。有機物を焦がして灰にすることで、ろ過の際に有機物を取り除きやすくする効果があります。一方、塩は無機物であるため、コンロの加熱によっては蒸発しません。
2回目の加熱では、水分を蒸発させることが目的でした。水分の蒸発により、塩が再結晶化して白い粉末としてステンレス皿の上に現れました。
この実験を通じて、物質の分離技術や方法について考察することができます。有機物と無機物の性質の違いを利用し、加熱とろ過を組み合わせることで、醤油中の塩を取り出すことができました。さらに、塩の再結晶化によって、目に見える形で塩を得ることもできました。
このような実験は、化学や物理学の分野で物質の性質や分離技術を研究する際に役立つ手法です。分離技術は、さまざまな分野で応用され、物質の純度を高めたり、特定の成分を抽出したりする際に重要な役割を果たします。
醤油から塩を取り出すといった簡易な実験と感じるかもしれません。ですが、とても有意義な実験であることは間違いありません。ぜひ自分の手を動かして実際に実験を行ってみてください!